3education: 2004年1月アーカイブ

今日、子供(Kindergarten)の通知表(Progress Report)を受け取りました。米国では9月から新学期が始まります。2003年度(School Year 2003-2004)は2003年9月2日から始まり2004年6月12日までで完全週休2日制、12日間のクリスマス休暇や2月、4月にも各1週間程度の休みがあるので学校に行く日は180日間です。子供の通っている学校の場合はそれを3期(Term)に分けて各期毎、日本の通知表に相当するProgress Reportが担任の先生から親へ渡されます。評価と項目は以下のようになっています。

評価
4 Consistently performs skills
3 Generally performs skills
2 Emerging
1 Support required
項目 Social-Emotional Growth(9項目)
Language Arts Oral Language(2項目)
Reading(5項目)
Writing(3項目)

Mathematics(4項目)
Social Studies(1項目)
Science(2項目)
Health(1項目)
Technology(1項目)
Art(2項目)
Music(2項目)
Physical Education(2項目)

各項目の詳細についての説明ははぶきますが、特にKindergartenでは言語教育(読み、書き、話す)に重点が置かれています。日本の年長とは違いお勉強が多いです。また、担任の先生はこのProgress Reportについて非常に詳しく説明してくれます。私が「他の項目はいいのに何故この項目だけ2なんですか?(日本語訳)」と聞くと、子供がやったレポートを引っ張り出し懇切丁寧に説明してくれました。さすが米国の先生は説明責任をしっかりしているなと感じました。さらに「お宅のお子さんは4月に日本から来たころと比べて信じられないくらい成長しましたね。勉強はもとより人格的にも立派になりましたよ。(意訳)」などとおだてられすっかり良い気分にさせられました。

とにかく米国では子供のよい点を褒めまくります。ところが、日本の幼稚園、ボストン日本語学校の父兄面接では子供の悪い点をまず指摘されほとんど褒められませんでした。同じ子供なのにこうも違うとは....子供の性格にもよりますが、多くの場合前者の教育法が子供を伸ばし元気にさせます。日本の学校ももっともっと子供を褒めるべきです。

英語(第2外国語)の勉強は何歳までに始めればよいのでしょうか?日本では中学校から英語の勉強を始め、高校卒業まで6年間も英語を勉強しているのに一向には話せ聞けるようになりません。これは何故でしょうか?

言語学の分野で言語獲得という分野があり、その研究によると第2外国語習得の臨界期(Critical Period)が10歳ぐらいで13歳では遅いという報告があります。つまり、中学校から始めたのでは遅いのです。もちろん、これには個人差があり、MITのある言語学科教授などは30ヵ国語を話せたり、また、ある教授は18歳でアメリカに来たのにもかかわらずまったくロシア語なまりがないそうです。こういう人たちは特別な能力を持った人なので凡人の参考になりませんが個人差はあります。

では何歳から第2外国語を始めたらよいのでしょうか、MITのEdward Gibson教授の話によると7歳以下で始めた場合はほぼ完全にネイティブ並になるということです。つまり、小学校に入学したら英語教育をするべきなのです。文科省もこのことはわかっていてモデル校では小学校から英語教育を始めるというニュースが新聞で報道されていましたが、日本全部でやるためには教員不足ですぐ実現が困難なようです。自分の子供を英語で苦労させたくなかったら小学校1年生から英語を何らかの方法で勉強させてください。

なお、ネイティブの子は5歳で約1万語(日本の大学英文科入試並みの語彙力)、13歳で13万語程度の語彙力があります。子供の吸収力は中年の私からみると驚きです。

あるケンブリッジ公立学校のKindergartenのクラス内部を写真で紹介します。Kindergartenは公立学校に併設され日本の小学校1年と幼稚園年長の中間的なもので、小学校1年への入学準備的な意味合いを持ち5歳児用の教育です。

クラスの広さは、正確に測っていませんが7メートルx14メートル程度ありとても広い感じを受けます(他の公立学校を3校ぐらい見学しましたが教室の広さは同様でした)。クラス内はいくつかの場所(センターと読んでいる)に分かれており、絵本などを読むリーディングセンター、リスニングセンター(ラジカセで絵本のテープを聴く)、文字の練習をするライティングセンター(読み書きには特に力を入れています)、算数をするマスセンター、絵や工作などをするアートセンター、金魚や昆虫などを飼育しているサイエンスセンター、ブロックや積み木などのお遊びをするセンター、ドラマティックプレー(ごっこ遊びをする場所)、洗面所(冷蔵庫、電子レンジもある)、コンピュータなどがあります。

日本も最近豊かになりましたがこれほどの環境の幼稚園は少ないのではないでしょうか。 Kindergartenで問題点を探していますが中々見つかりません。私の子供は日本の幼稚園では通園拒否に近い状態になりましたが、ここではとても楽しく学校に通っています。

これだけの教室で2名の先生から教えてもらえるアメリカの子供達(このクラスはたった14名)はとても素晴らしい教育環境にいます(本当に重要なのは教員の質ですが子供の担任は熱心な先生です)。アメリカの底力を感じました。

教室の入り口
お誕生日会のセッティング
丸テーブルはアートセンター
生徒達は緑カーペットに座って先生のお話を聴く
キッチン(電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、流しがある)
ケンブリッジ公立校のコンピュータは基本的にMac
サイエンスセンター(金魚、植物、昆虫、地球儀、虫眼鏡など)

楽しい教室の飾りつけ
1月16日の記事ではケンブリッジ市全体の公立学校システムについて簡単に書きました。ここではある公立学校のKindergarten(幼稚園の年長相当)についてもう少し詳しく説明します。ケンブリッジの公立学校の多くは日本で話題になっている小中一貫校で、下はKindergartenから上は8年生までいます。多くの学校は1学年2クラス、1クラス20名前後が定員となっています。担任の他にアシスタントの先生もつくわけですから子供に目が行きとどきます。

日本と違い面白いと思ったことは全ての学校が導入しているわけではありませんが、ケンブリッジポート校などではクラス分けが学年単位ではなく、縦割りのクラス編成で数学年が同じクラスで授業を受けています。そこでは学年より本人の能力に応じて教育が行われ、例えばリーディングでは1年生でも読むことが得意な子はどんどん難しい本を読ませ、反対に苦手な子は簡単な本を読み完全な能力別になっています。これも1クラス20名という少人数編成、しかも担任の他にアシスタントの先生、学校によってはリーディングの先生もいるから可能になっています。

落ちこぼれをなくすという意味では理想的な教育といえます。アメリカではこの「落ちこぼれをなくす」ということをNo Students Behindといい教育施策に一つになっています。これはNo Soldiers Behind(戦場で見方の兵士を置き去りにするな!)という言葉からきています。

お誕生日会の様子
ケンブリッジ市公立小学校の良い点は、もし学校や担任が気に食わなければ、学校を年2回変更できる点です(ただし、定員に空きがある場合)。日本の場合、公立学校の場合はそういうことはまずないと思います。こういうシステムがあればイジメにあった子も救われると思うのですが。繰り返しになりますが、学校のシステムはめまぐるしく変わっています。以下のウェッブサイトを参考にしてください。
http://www.cpsd.us/
子供にとってどの学校が良いかは運みたいなものもあります。学校制度が良くても、担任に恵まれなかったり、クラスの子供たちとうまくいかず友達ができなかったりする場合があります。また、クラスに日本人の友達がいると日本語だけ話して英語が全然上達しないという話も聞きます。何が子供にとって良いかという問題はとても難しく、子供も性格、年齢、英語力などを総合的に見て判断する必要があり、子供にとって良くない環境の場合は積極的に転校を考えるべきです。

2003年の6月まではケンブリッジの各公立学校にESL担当教員がいましたが、2003年9月の新学期からは各学校でのESL教育は廃止され、英語ができない子供は指定された学校に集められ英語の集中的な教育を受け、英語ができるようになったら普通のクラスに戻されるシステムに変更されるということを聞きました。

ESL教育に関してはNewtonやBrooklineとCambridgeでは違うのだと思います。聞いた話によるとBrooklineには日本人のESL の先生おり、日本人の子供たちも結構いるそうです。Cambridge公立学校には私の知る限り日本語のわかるESL先生はいませんし、日本人もとても少ないです。息子のいっている学校には日本人は一人しかいません。

ケンブリッジ市では学区というものがあまりなく、希望して空きがあればどこでも入れました。ただ、人気がある公立学校(Public School)は学期の途中(アメリカでは新学期は9月開始)からでは入るのが難しいと思います。人気のある学校は場所が良い、教育システムに特徴がある、統一テストの点数が高い、人種に偏りがある(人種で固まる傾向が少しあります)ところのような気がしています。Kindergarten(日本の幼稚園年長に相当する。Kindergartenは義務教育ではないが無料で子供を通わせることができるのでほとんどの子供が通っている)に子供を通わせてみてケンブリッジの公立小学校は頑張っているな(頑張らなければならない環境に置かれているな)というのが現在の印象です。

1クラスは概ね20名程度で、クラスの担任の他に補助の先生が付きます。2名で20人程度の子供の面倒を見るわけですから日本より目が行き届きます。これではいじめも起きづらいです。さらに、マサチューセッツ州の統一試験(MCAS: Massachusetts Comprehensive Assessment System)の成績で学校が統廃合されるためか、どの学校も教育には熱心で宿題もたくさん出ます。私たちは担任の先生から子供に毎日本を読むように言われしかもそうするようにサインまでさせられた上で、毎週子供に学校から宿題として本が貸し出されます。ゆとり教育の日本とは全然違います。私の知り合いなどは子供の宿題が大変で親が子供と一生懸命宿題を解いていました。

凍るチャールズ川
1月10日としては観測至上最低気温-19.4 ℃ (華氏-3度)を記録しました。記録に残っているのは1875年の-18.3℃です。なお、この日の平均最低気温は-5.8℃なので以下に寒かったかがご想像つくと思います。

この日は息子の日本語学校があり、駐車場に着いてから校舎までのわずか100mの距離を歩いただけで顔の感覚が麻痺してしまいました。冬の最も寒い時期に北海道のスキー場へいったときと同じ感覚です。天気は良かったのですが気温は-10℃ぐらいまでしか上がらずボストンを流れるチャールズ川もすっかり凍りついてしまいました。

今年の元旦は7℃もあり氷像がすっかり溶けてしまい今冬は暖冬かなとと思っていましたがどうやらそうではなさそうです。

1/10/2004

メトロポリタン美術館の甲冑
昨年末ニューヨークに行ってきました。その目的の一つがメトロポリタン美術館見学でした。誰がいったかわかりませんが世界三大美術館(他はルーブル美術館、大英博物館)の一つです。日本人は世界三大というのに弱いですね。私は函館出身で、函館の夜景は今のところ世界一は美しいと思っていますが、函館市はこれを世界三大夜景といって盛んに宣伝していました。後の二つはナポリと香港なんだそうですが、香港にいき夜景を見たときに香港の人に聞きましたが「世界三大夜景何て聞いたことがない」と話していました。そもそも函館を知っている人は世界では少ないと思いますから当然といえば当然です。

メトロポリタン美術館も函館の夜景も世界三大であるかどうかは別にして、どちらも世界的に見て非常に素晴らしいものです。メトロポリタン美術館は古代から現代までの絵画200万点がありとても一日で全部見ることはできません。私は3時間しか時間がなかったので駆け足で館内を回りました。美術の教科書等でおなじみの近代ヨーロッパ絵画は、パリのオルセー美術館にはかないませんがそれでも相当の量があります。

それよりも印象に残ったのはArms and Armorという展示コーナーです。そこには剣、甲冑、日本の鎧、日本刀、鉄砲などが広いスペースに並べられていました。特にヨーロッパの甲冑は圧巻でした。50体以上はあったと思います。甲冑はどれもピカピカに輝いておりデザインもとても美しくさながらヒューマノイドロボットのようでした。恐らく現代のロボットデザイナーや漫画家の中にはこれらの甲冑のデザインを参考にした人も多いと思います。現在のヒューマノイドロボットは甲冑のように外骨格式のものが多いので甲冑のデザインはとても参考になります。しかも、甲冑はもともと人間が着用するようにデザイン、製作されているのです。美術館見学でヒューマノイド開発に関するヒントを発見しました。

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